サービスとワガママ

先日、ヤフーのニュースで雑誌プレジデントに載った、29年連続でサービス日本一になった能登半島の高級旅館「加賀屋」の記事が紹介されていた。
客の意見を大事にして、細やかな心遣いを心がけている姿勢には感心するばかり。
そのなかで、マニュアルを守るだけでは60点、あとは客と接する者の感性次第という言葉に納得。
私などは、人にあれこれやってもらうのは負担に感じてしまうタチなので、サービス過剰なところへいくと、逆に落ち着かない気分になる。そういうときに、この客にはこれ以上のことはしないほうがいいと判断してもらえるとありがたい。
客も千差万別。その違いに応じたサービスを心がけているから、客も居心地がいい旅館だと思えるのだろう。

この記事の中で気になったのが、先代の話。
何でも、客のために銘酒を求めて車を飛ばし、収支は考えずにサービスに徹したという。
その心意気は、スゴイとはいえるかもしれないけれど、そこまでしてしまうのはどうなんだろう? 
客の単なるワガママは聞くことはないだろうと思うけれど、そんなんじゃサービス業はやっていけないのかな?
お金を払ったらなんでもやってもらえると思うのは、ちょっと傲慢な気がする。

たまたま、向田邦子さんの『霊長類ヒト科動物図鑑』(文春文庫)を読んでいたら「無敵艦隊」というところで、このサービスと客のワガママについて触れていて笑ってしまった。
向田さんが老舗の鰻屋さんに行った時のこと。
老紳士が鰻丼を注文したのだが、鰻とごはんを別々にもってきてくれとお願いしたらしい。
店側は、それじゃあ鰻重でいいだろうといっても、老紳士は、頑なに鰻とごはんを別々に出せという。
そんな簡単なこともできないなら、新聞に投書するという怒りの言葉に、おかみらしい人がでてきて、ハイハイわかりましたということになったそうだ。
向田さんは、こんな騒ぎのあとで食べてもおいしくないだろうと書き、こういう人には勝てないなと結んでいる。
お店の板さんにも、鰻丼にたいする誇りというものがあり、タレとごはんの微妙な味を無視した注文なんか聞きたくないと思ったのかもしれない。
ウチはメニューにあるものしか出せないといって客にでていってもらうか、最初から、黙って注文されたものを出すか。どこまでがサービスなのか? サービスって難しいね。
by mint-de | 2009-08-21 11:29 | 社会畑

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