「フローズン・リバー」

「フローズン・リバー」 (2008年 アメリカ映画 監督コートニー・ハント)

レイは、ギャンブル好きの夫に、新居の購入費用としてためていたお金を持ち逃げされた。日々の暮らしに余裕のないレイは、二人の子どもを抱え途方に暮れる。
レイは、夫を捜しにいったビンゴ会場で、夫の車を運転するモホーク族の女を見つける。女は、モホーク族の保留地でトレーラーハウスに住むライラ。
ライラは、レイがお金に困っている様子を見て、ある提案をする。

モホーク族の保留地は、ニューヨーク州最北部、カナダとの国境を流れるセントローレンス川を挟んだ両岸に広がっている。保留地に国境があるのだ。それを悪用して、カナダからアメリカに渡る密入国者の手助けをすると、一人分1200ドルも稼げるという。川は冬になると凍る。その上を車で渡ってしまえば、あっという間にお金が稼げるのだ。
その日から、レイとライラは、密入国者をトランクに乗せる仕事を始める。
保留地には、独自の警察があり、重要な事件を除いて州警察は踏み込むことはできない。保留地以外の地を走るときは、白人のレイが運転していれば怪しまれないし、保留地に入ってしまえば安全なはずだった。

ある日、二人はパキスタン人の夫婦を乗せる。荷物は後部座席においたが、レイは、その荷物が気になる。自爆テロとか、いろいろ想像して不安になったレイは、その荷物を途中で降ろしてしまう。しかし、到着後、その荷物には夫婦の赤ちゃんが入っていたことがわかる。
レイは、犯罪に手を染めたが、人殺しをするつもりなんてない。
すぐに引き返して、赤ちゃんを取りにいく。
しかし、赤ちゃんはすでに冷たくなっていた。
ライラは、もう駄目だというが、レイは、必死に車を暖める。
その後、赤ちゃんを抱いていたライラがいう。赤ちゃんが動いていると。

このシーンが、この映画の核なんだと思う。
ライラは夫に先立たれ、子どもを義母に取り上げられていた。いつか取り戻したいと思っていたのだ。
結果的に、それを、後押ししたのがレイだった。レイとライラは、最初はお互いに不信感を抱いていたが、やがて、信頼できる相手になったのだ。
それは、貧しさという共通項と、子どもへの愛情が二人を結びつけたのだろう。
ラストで下すレイの決断は、ライラが動きだした赤ちゃんを見て、「創造主が生き返らせた」と語った言葉を聞いたせいかもしれない。
命の神秘をライラから奪ってしまうことはできないと、レイは考えたのだ。

子どもには、悪いことに関わるなと注意しながら、レイは、お金のために「仕事」をする。そこには、罪悪感はあまり感じられない。
ラストの潔さに、なにか爽快感のようなものまで感じてしまう。
その堂々とした強さが、この映画の魅力なのかもしれない。
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by mint-de | 2010-02-10 11:06 | シネマ(た~ほ) | Trackback

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