碧草の風

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春を待つ

今日も青空が広がっている。もうすぐ3月、春がやってくると思える暖かい日和だ。
北海道にいた頃は、春が本当に待ち遠しかった。
雪道から、茶色い土が見えただけで、ああ春がくる、厚いオーバーやブーツを脱げる日がくる、身軽になれると喜んだものだ。そして、「春」を想うとき、私には、いつも浮かんでくる言葉があった。
作者もタイトルも忘れてしまった詩の最後の部分。ただ、「まんさくが咲いて、子どもが喜ぶ」という言葉が、私が春を待ち遠しく思う気持ちとピッタリで、私はその部分を「まんさくの花が咲いたと 子どもたちは歌うように喜ぶ」と、ずっと思い込んでいた。
あるとき、子どもの国語の資料を見ていたら、その詩が載っていて、丸山薫の「白い自由画」という詩だとわかった。しかし、最後は、
「あヽ まんさくの花が咲いた」と 子どもたちはよろこぶのだ
で、「歌うように」なんて言葉はなかった。ひどくガッカリしたものだ。
もしかすると、別の詩と混同していたのかもしれない。
記憶というものは、自分の都合のいいように脚色されているものなのかもしれない。
今でも私は、「まんさくの花が咲いたと 子どもたちは歌うように喜ぶ」と心のなかでいっている(^^)

白い自由画 (丸山薫)

「春」といふ題で
私は子どもたちに自由画を描かせる
子どもたちはてんでに絵の具を溶くが
塗る色がなくて 途方に暮れる

ただ まつ白な山の幾重なりと
ただ まつ白な野の起伏と
うつすらした墨色の陰翳の所々に
突き刺したやうな 疎林の枝先だけだ

私はその一枚の空を
淡いコバルトに彩つてやる
そして 誤つて まだ濡れてゐる枝間に
ぽとり! と黄色を滲ませる

私はすぐに後悔するが
子どもたちは却つてよろこぶのだ
「あヽ まんさくの花が咲いた」と 
子どもたちはよろこぶのだ


色のない冬から、黄色とまんさくというたった二語で、春になる喜びが表現されている。素朴な感じが、とても気に入っている。
by mint-de | 2010-02-20 16:06 | 詩と言葉から