碧草の風

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生きがいについて

「生きがいを手に入れる簡単な方法」 加賀乙彦
     (『不幸な国の幸福論』 
集英社新書・「第3章」から)

人間には、この世界に自分が存在していることになんらかの意味や価値を見いだしたいという欲求があります。誰かに、あるいは何かのために自分が必要とされているという手応えを常に欲している。意識するしないにかかわらず、さまざまな人間関係や仕事などをとおして、日々それを確認しながら生きていると言ってもいいでしょう。存在意義を感じられなければ、どんなに裕福で恵まれた環境にあっても自分を肯定するのは難しい。不安や不満に苛まれ、心や体を病んでしまう人も少なくありません。
人のために何かをするということ。それこそが、「私は必要とされている」「私には生きる意味があるのだ」と実感できる最も簡単な、そして誰にでも可能な方法です。誰かの役に立てているという素朴な喜びは、自己肯定感へとストレートに結びついていく。生きがいを感じながら生きていくエネルギー源となるのですから。
人間が自分のためにできることなんて、たかがしれています。しかし、自分のためだと頑張れなかった人でも、誰かのためなら思ってもいなかったエネルギーがわいてきて、普段以上のことができたりするものです。それが、その人の自信にもつながっていく。たとえ収入や評価という目に見えるメリットをもたらさなかったとしても、自分自身を支える力となってくれるのだと思います。
そうして、人のために自分にできるささやかな何かをする人が増えれば、世界は今より確実に生きやすく、幸福になる。秋葉原通り魔事件を起こした青年にしても、自分の不幸ばかりにスポットを当てるのをやめ、「誰かのために今の自分にできる何か」を探し行動していたなら、あれほどの孤独と自己否定感を抱えずにすんだのではないでしょうか。

by mint-de | 2010-03-19 19:29 | 詩と言葉から