碧草の風

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「イエロー・ハンカチーフ」

「イエロー・ハンカチーフ」 (2008年アメリカ映画 監督ウダヤン・ブラサッド)

日本版を見ているので、ラストでは黄色いハンカチが(アメリカ版は帆を掲げてと頼んでいたけれど、実際はハンカチだった)はためいているのがわかっている。結末がわかっているせいか、内容はとてもいいのだけれど、感動はいまひとつだった。
役にぴったりの雰囲気でカッコよかった高倉健に比べると、ウィリアム・ハートはちょっと普通のオジサンすぎた気がする。笑いをさそった武田鉄矢と桃井かおりのコンビのアメリカ版は、二人とも若くて可愛いといった感じで、全体的にとても地味な映画だった。

6年の刑期を終えて出所したブレッドは、ビールを飲んでしゃばの味をかみしめる。そこで出会った若い二人、ゴーディは先住民地区で育った風変わりな若者、マーティーンは孤独感を抱えている少女。ひょんなことから、3人は、ブレッドが目指すニューオーリンズまでゴーディの車で旅をすることになる。
ブレッドは、妻宛てに、自分を待っていてくれるなら家のそばに黄色い帆を掲げてほしいという手紙をだしていた。過去のブレッドは、メイと結婚して子どもが生まれるという期待に、やっとささやかな幸せを感じられる生活ができるようになったのに、メイが流産してしまったことから、夫婦の関係にほころびが生じてしまった。あるとき人を死なせてしまったブレッドは刑務所へ。

ブレッドは、刑務所で過ごし、自分にとって何が大切なのか、よくわかったのだろう。だから、人生の先輩として、若い二人に静かに助言する。ゴーディは、周囲に理解されずずっと疎外感を感じていた。自分の居場所を求めて、旅をしているのだという。ブレッドは、もっと自信をもてとゴーディにいう。マーティーンは、父親との暮らしで父に愛されていないと感じている。誰にも必要とされていないという孤独感。そして、ゴーディをウザイと思っている。ブレッドは、ゴーディのよさをもっと認めてあげなさいという。理解しあうには、相手をよく見ること。いっときの感情に流されてはならないと、ブレッドは自分の経験から思うのだ。ブレッドの話を聞いてから、若い二人が積極的になっていく様子が微笑ましい。誰かのために、一緒に何かをする。人間関係に懐疑的になっていた二人は、ブレッドと妻が抱き合う姿に新たな希望を見出すのだ。

3人が旅をして通り過ぎていく場所は、廃屋やハリケーンの爪跡が残る場所。誰も住まなくなった家と、行き場のない3人。そういうシーンのあとで、黄色いハンカチやタオルがいっぱい風にはためいているラストを見ると、待っている人がいるということ、行くべき場所があるということが、とてもありがたくて大事なことなのだと気付かされるのだ。
by mint-de | 2010-07-04 16:45 | シネマ(あ~そ) | Trackback
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