碧草の風

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『五番目の女』

『五番目の女』 (ヘニング・マンケル 柳沢由実子訳 創元推理文庫)

クルト・ヴァランダー・シリーズの六作目。
父親と一緒にローマを旅してきたヴァランダーは、その思い出にひたる間もなく、残忍な方法で殺害された男たちの事件を捜査することに。
進展しない捜査、突然の父の死。
雨ばかり降る秋のイースタは、ヴァランダーの心を日増しに重くしていた。

連続殺人を解決できない警察に不満をもった市民たちのなかからは、自警団までできてしまう。
同僚の刑事の娘は、自警団に影響された生徒たちに襲われてしまい、ヴァランダーは暴力に支配される社会を嘆く。
読者は犯人を最初に知らされているので、犯人の詳細や動機はわからないけれど、ヴァランダーたちの捜査が、早く犯人にたどりつかないかとやきもきしながら読み進めることになる。
著者のマンケルさんは、本当にうまい作家だなあと思う。読み始めると、後を引くお菓子のようにやめられなくなるのだ(^^)

ヴァランダーたちの地道な捜査、同僚たちの暮らしぶりやチームワーク、時折恋人のバイバに思いをはせるヴァランダーの姿には、ホームドラマのような味わいがある。
犯人には、母親のことを思うと同情の余地がないわけではないが、彼女がそこまでする動機にはちょっと違和感が残った。

訳者の方のあとがきを読んで驚いたのだが、マンケルさんは今年の5月、イスラエル軍に攻撃されたパレスチナへの救援物資運搬船に乗っていたという。有名な作家でありながら行動する作家でもあるようだ。こういう経験が、作品へのエネルギーになっているのかもしれない。
by mint-de | 2010-09-13 15:00 | 私の本棚 | Trackback
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