「隠された日記 母たち、娘たち」

「隠された日記 母たち、娘たち」 
  (2009年 フランス・カナダ映画 監督ジュリー・ロペス=クルヴァル) 

母と娘。実の母に捨てられた母は、娘に対して愛情をうまく表現できない。娘はそういう母に素直になれない。まるで透明な板を通して接しているような母と娘。そんな二人だったが、ある事実を知ることによって、その関係に変化が起こる。
親と子の関係というものは、自分が親になって思うのだけれど、親は自分が育てられたように子どもを育ててしまうのではないだろうか。無意識のうちに、親が「教科書」になってしまうのだ。親に似たくはないと思う部分があっても、結局、似たようなことをしていて笑ってしまうことがある。

カナダで働いているオドレイは、休暇でフランスの片田舎に住む両親のもとへ帰ってきた。父は優しく迎えてくれるが、医者の母マルティーヌの態度はとてもクールだ。オドレイは散歩にでて、海辺に立つ祖父の家を眺める。今は無人のその家は、かつて母の家族が暮らしていた家だ。大きな仕事を任されていたオドレイは、集中して仕事をするために、その家を使うことにする。台所を片付けていたオドレイは、そこで古い日記帳を見つける。それは祖母ルイーズの日記だった。

料理のレシピ、子どもへの愛、社会にでたいという願望、夫への不満がつづられた日記を、オドレイは興味をもって読み始める。ルイーズは、夫や子どものもとから突然いなくなった身勝手な女だと聞かされていた。実はオドレイは妊娠していた。子の父親は恋人でもない男。産むことにためらいがあり、自分と母とのことを考えると子の親になるなんて信じられないことだった。迷っていたオドレイにとって、祖母のその日記は、女の生き方や母になることについての参考になった。読み進めていくうちに、オドレイには祖母への印象が変わってくるのだった。

ルイーズは働きたい、自立した女になりたいと願っていたのに、夫がそれを許さなかったのだ。ルイーズは、マルティーヌに勉強して自立した女になることをすすめた。マルティ-ヌは医者として成功したが、母に捨てられたという過去からまだ脱け出せず、誰に対しても辛らつで横柄な態度をとっている。ルイーズのことを話したがらなかったマルティーヌだったが、彼女がその日記を読んだことである真実が見えてきたのだった…

ルイーズの生きた時代は、女性たちにとって自由に生きるには生きづらい時代だったかもしれない。今は普通のことでも、その時代では奇異な目で見られたことだろう。何でもありの今の世の中を生きるオドレイには、選択肢はいっぱいある。それでも、母になること、妻になることは、昔からもこれからも女性にとっては生き方を左右する一大事だ。海を眺めながら考えるオドレイの姿に、いつの時代にも迷う女の普遍的な姿を見る思いがする。

父のせいで辛い思いをしてきたマルティーヌが哀れに思えるが、過去にこだわることなく生きていれば、自分の娘に対してもっと違った態度をとることができたのではないだろうか。
それにしてもマルティ-ヌの父は恐ろしい人だ。

カトリーヌ・ドヌーヴの貫禄あるオバサン化にビックリ。
もっとおやせになると、あの美しさが戻る気がするのですが…
トラックバックURL : http://mintmmks.exblog.jp/tb/12152290
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
by mint-de | 2010-10-28 14:24 | シネマ(あ~そ) | Trackback

見たり聞いたり、日々思うことをあれこれと…


by mint-de