碧草の風

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老いと居場所

ずっと北海道に住んでいた89歳になる叔母が、東京近郊で暮らしている娘家族と同居することになったので、会いにいった。
日中は一人でいるという叔母。家の中はこっちの方が寒いといって、重ね着をしている姿を見ていると何だか気の毒になる。事情があって、こちらにやってきたのだ。私の父も、最後は北海道から離れて見知らぬ土地で暮らすことになった。いろいろ考えて、それが最善の方法だったとしても、老いた身の居場所とは、自分がいたいと思う場所とは違う所になってしまうことに、やりきれない思いがする。
叔母は、もう一人では長い距離を歩くことが難しい。そして、物忘れがひどくて、このままぼけてしまいそうだとしきりに不安を口にする。私は、施設のお世話になっている老人がいっぱいいるのに、叔母さんはちゃんと自分のことができるのだから大丈夫と励ましてきたけれど、叔母の不安な気持ちは理解できる。私にとって、老いは未知の領域だ。私が長生きして叔母くらいの年になったとき、はたしてどんな境遇でどんなおばあさんになっていることか。でも、なんとなくわかっていることはある。それは身体の衰えに絶望的になるのではなく、自分の身体と気持ちに折り合いをつけて生きていくことではないのかと…
ほんの数時間の訪問ではあったけれど、束の間、故郷にいるような懐かしい思いに包まれた。老いた叔母、亡くなった両親や兄姉、いとこたち。
時の移ろいの速さに割り切れない思いを抱きながら、私は叔母の家を後にした。

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by mint-de | 2011-01-27 20:30 | 記憶の鞄