碧草の風

mintmmks.exblog.jp
ブログトップ | ログイン

『馬を盗みに』

『馬を盗みに』 (ペール・ペッテルソン 西田英恵訳 白水社)

2003年にノルウェーで出版され、国内外で高い評価を受けた作品だ。
67歳のトロンドは、ノルウェーの東のはずれにある湖畔で、一人で暮らしている。
厳しい冬の生活や老いていく身に不安を感じつつも、彼は魚を釣り薪を割り、長年思い描いていた場所で一人で(&犬)暮らしていた。
あるとき、隣人と話をして、彼は15歳の少年時代を思い出すのだった。
スウェーデンとの国境近くの小さな村で、父と過ごした夏の日々。
美しい自然、きらめく夏の光、馬を盗みにいこうと誘った友、村の人々。
干し草刈り、伐採、材木流しといった肉体労働の描写も実に生き生きとしている。
加えて、レジスタンス活動をしていた父の謎の行動。
少年トロンドは、父の帰りを待ち続けたが、その後父と会うことはなかった。
この小説には、結果がすべて書かれてはいない。ストーリーがあるようでない不思議な魅力がある。
15歳の夏と、冬の湖畔で一人暮らす67歳のトロンド。
その違いは、50年という歳月からくるものだとしても、どちらの世界もとても印象的に描かれている。
どんな風に生きたとしても、「痛いかどうかを決めるのは自分自身なのだ」
by mint-de | 2011-03-10 15:07 | 私の本棚 | Trackback
トラックバックURL : http://mintmmks.exblog.jp/tb/13097132
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。