『黄昏に眠る秋』

『黄昏に眠る秋』 (ヨハン・テオリン 三角和代訳 早川書房)

面白いミステリだった。
スウェーデンの作家だが、イギリスでも新人賞をとっていて、この作品は世界20か国以上で翻訳されているという。

スウェーデンのエーランド島。ある霧の深い日に一人の少年が消えた。
それから20年以上たっても、少年は行方不明のままだった。
息子の不在を嘆きながら生きてきたユリアのもとへ、疎遠だった父イェルロフから連絡が入る。
少年のサンダルが何者かから送られてきたと。
ユリアは、久しぶりに夏だけにぎわう避暑地エーランド島に帰ることにする。
かつて過ごした家に今は誰もいない。秋風が冷たい過疎の町。
すぐに島から出るつもりだったユリアだが、息子の事件を追ううちに、次第にその心に変化が起きてくる。
寒い冬を待つだけのシーズンオフの風景が、ユリアの心情をよく表している。それでも、事件の真相がわかる頃には、ユリアにも新たに生きようとする気持ちがわいてくる。そして、父と娘の関係にも新たな信頼感が生まれてくる。
ミステリながら、アットホームな雰囲気あふれる作品だ。それと、病気で体の自由がきかない老イェルロフの名探偵ぶりが微笑ましかった。
ユリアやイェルロフが犯人かもしれないと思う、犯罪者ニルス・カントの話が所々で挿入される展開で、彼のナゾが徐々に明らかになっていく様子も興味深かった。
意外な人物が犯人で、ラストは「えっ?」
エーランド島の自然も魅力的に描かれていて、作者は四季の4部作を書く予定で、すでにほかの2作を完成させているらしい。他の作品もぜひ日本語で読みたいものだ。
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by mint-de | 2011-06-23 15:04 | 私の本棚 | Trackback

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