碧草の風

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『空白の五マイル』

『空白の五マイル』 (角幡唯介 集英社)

ミステリのような味わいもあり、面白い冒険の記録だった。
著者は大学の探検部に所属していたとき、チベットの探検史を読んで、謎に満ちたツアンポー川のことを知る。ツアンポー川はアジア有数の大河で、昔はヒマラヤの山に挟まれた峡谷の大屈曲部が山に消えてしまうため、川の全容がつかめないでいた。
探険家たちによって解明されてはきたが、地理的にあまりにも険しく、まだ踏破されていない部分がある。そして大滝が存在するするかもしれないという伝説。
探検がしたいと渇望していた著者は、このツアンポー峡谷の謎に魅せられ、ここを探検することが人生の目的になった。
この本は、大学を卒業してから単独で人跡未踏の五マイルを踏破した記録と、その6年後に会社を辞めてまたでかけた、目的を果たせなかった冒険の記録でもある。
著者は、「命の危険があるからこそ冒険に意味がある」と語る。何度も死にそうな目にあいながら、生きるか死ぬかという瀬戸際に、生きる意味がわかるような気がするという。
私は、そこまでして生きる意味を求めようとは思わないけれど、未知のものを見たい知りたいという気持ちが、死をも恐れない好奇心となってその人を突き動かし、実際に行動してしまう人には、淡い憧れがある。
自らの考えと行動がすべて。誰にも頼れない場所で懸命に道を探し、死なないために歩き続ける。
とても悲壮だけれど、高貴な人間の姿にも思える。
もっとも、単独といっても現地の人の協力があったのとない場合で、ずいぶん違った結果になった。すべてを一人でやり遂げるというのは、難しいことなのだろう。
あえて危険な場所に挑む冒険の記録は読んでいて面白いが、くれぐれも命を大切にして行動していただきたいと思う。
by mint-de | 2012-01-24 14:31 | 私の本棚 | Trackback
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