「オレンジと太陽」

「オレンジと太陽」 (2010年 イギリス映画 監督ジム・ローチ)

イギリスでは、1970年まで養護施設の子どもたちをオーストラリアなどに移住させる「児童移民」が行われていたという。
世に知られていない事実を公にし、彼らの親探しに奔走するソーシャルワーカーのマーガレット・ハンフリーズさんの手記を映画化したもの。

1986年、マーガレットは、オーストラリアからやってきたという女性に声をかけられる。
小さいときにノッティンガムの養護施設にいた記憶がある。それから大きな船に乗せられて数百人の子どもたちとオーストラリアに送られた。自分のことを調べてほしいといって、書類を渡された。
その後、オーストラリアから弟だと名乗る手紙を突然もらったという女性の話を聞いたマーガレットは、半信半疑だった「児童移民」の事実を知ることになる。
いつも太陽が輝き、オレンジが食べられると聞かされ、子どもたちはオーストラリアへ連れてこられた。
しかし、待っていたのはつらい仕事と虐待だった。
政府も推し進めた「児童移民」だが、協力者たちは後ろめたい気持ちがあったのか、それらに関する記録は正式には残されていないため、マーガレットの調査は思うようには進まない。
それでも、理解ある夫の協力やマスコミの報道にも助けられ、時には教会を悪く言うなと脅されることもあったが、孤児たちの親探しや支援の仕事を続けていけるようになる。
イギリスでは孤児たちを厄介払いでき、オーストラリアでは安価な労働力と人口増加が期待できたのか、その辺はちゃんと語られていなかったけれど、小さい子どもを親がいないのをいいことに、勝手に国外に移住させるなんてひどい話だ。
頼るべき人がいない子どもたちの不安な気持ちを思うと、本当に可哀想だと思う。
母親が死んでもいないのに、子どもには死んだといい、会いにきた母親には里子に出したといっていたケースもあったという。
施設のなかでもひどい環境だった教会は、荒野のなかに建っていて逃げようにも行き場のない場所にあった。マーガレットはその教会の神父たちの前でこういうのだった。
「私が怖い?でも大丈夫。あなたたちは大人だから」

親がいない。親を知らない。自分は誰なのか?
根源的な問いの答えを握りつぶそうとした人たちは、とても罪深い人たちだと、映画を見ながら思ったのだった。
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by mint-de | 2012-04-20 15:24 | シネマ(あ~そ) | Trackback

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