『カラーひよことコーヒー豆』

『カラーひよことコーヒー豆』 (小川洋子 小学館文庫)

作家のエッセーを読んでみると、その作家の個性がよくあらわれていて、小説より面白く読んでしまったりする。面白い小説を書く作家のエッセーが面白いかといえば、そうではなく、逆にガッカリする場合もある。
あくまでも私個人の感想ではあるけれど。
私の場合、数学が苦手だったせいか、『博士の愛した数式』は途中で挫折してしまったが、このエッセーを読んで、小川さんの作品をもっと読みたくなった。
ひねくれ者の私が、とてもすがすがしい気持ちになれるエッセーなのだ。
日常のささやかな出来事でも、こういう言葉にして綴られると、一日の素敵なヒトコマになる。
もう少し素直にならなくちゃ、なんて思えてくる。
「働く人の姿」では、OLさん、ホテルのルームサービス係、スーパーのレジ、花屋さん、そしてお母さんが家で働く姿に感動すると書いている。大人になってからも、働く人を見ながら、こういう風に尊敬するといえる人は珍しいと思う。
埃や塵にまみれてしまった心を払って、もう少し清らか目線で物事を見るようにしなくちゃと、反省した次第。
タイトルの「カラーひよこ」は、昔縁日で売られていた赤や青に染色されたひよこのこと。
小さな命が、まるで色つきのおもちゃのように売られていたのだ。
カラースプレーを吹きかけられたひよこはかなり弱ってしまう。
私はあまり記憶にはないのだけれど、縁日の楽しさとカラーひよこに隠された残酷さが伝わってきて、このエッセーは印象的だった。
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by mint-de | 2013-03-02 15:06 | 私の本棚 | Trackback

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