『命の往復書簡』

『命の往復書簡』 (千住真理子・千住文子 文藝春秋)

千住真理子さんの演奏会にはいったことがあるけれど、彼女の本を読むのははじめて。
彼女の母、文子さんにがんが見つかったときが、私の義母と同じころだったので、家族の病気とあの震災のときの不安な気持ちがよくわかり、読んでみたいと思った。
文子さんの病気の話がメインではあるけれど、千住家の一つのチームのような絆の強さと文子さんの生へのパワーに感心した。
文子さんは、大好きだったピアノを戦後に失った。そのときの絶望感と、その音を再び聴きたいという強い気持ち。その音を、バイオリンの音色で思い出したのだそう。
そうして、三人の子どもたちはバイオリンに触れることになったのだ。子ども三人がみな芸術家という、その原点は、やはりお母さまにあったのではと思った。
裕福な家庭を想像してしまうけれど、いろいろご苦労があった様子も描かれている。
真理子さんのレッスンの大変さもよくわかるけれど、お母さまの協力なしではできなかったこと。
「あとがき」によると、文子さんは「鉄人母さん」といわれていたらしい。本を読んでいると確かにそんな感じがする。その「あとがき」は印象的な文章で締めくくられている。

道が二本続くのです。一本は当然死にゆく道。あとの一本は生きる道ということ。
脳がその微妙な選択の命令を下すでしょう。不安を捨てて、力一杯生きてみよう。その先は誰も見えない  のだから。それが人生なのだから。
はげた鉄人の銀の衣を塗り直した私は、皆を背にのせ走ります。希望を求めて。
月夜の空がピカッと光るのは、鉄人が飛んでいるのです。 
ビルの街にガオーッ 
夜のハイウェーにガオーッ
 (本書「あとがき」から)
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by mint-de | 2013-06-22 12:07 | 私の本棚 | Trackback

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