『アグルーカの行方』
2013年 08月 21日
『アグルーカの行方』 (角幡唯介 集英社)
『空白の五マイル』が面白かったので、この北極探検の記録も期待して読んだ。
文章が上手い上に、極寒の地を歩くという行為そのものがものすごいことなので、その貴重な体験の一つ一つに「すごいなあ」と感心しまくり。
ぬくぬく生きている身には、その体験に、ただただ圧倒されてしまった本である。
1845年、イギリスの北西航路探検隊は北極に向かったが、129名全員が遭難死した。その彼らの足跡をたどるのが探検の目的で、北極のレゾリュートからカナダ北部のベイカー湖まで、約1600キロを103日かけて歩いた体験記である。
探検隊の隊長であるフランクリンが死んだあとは、イヌイットから「アグルーカ」と呼ばれていた男が、最後の生き残りとしてイヌイットたちに目撃されていたらしいが、詳細は不明のままだ。
その謎と、北極という未知なる世界と、冒険とは何かという問いが、この本のテーマ。
読んでいて興味深かったのは、寒い地ではエネルギーを異常に消費するということ。何千カロリーもの食物が必要らしい。
探検隊は、最後には死んだ人の肉まで食べていたらしい。
角幡さんはジャコウウシを射止め、解体して貪るように食べるシーンがでてくるが、このような地では、生きるものすべてが「命のために食らう」のであるなあと、なんだか生きることの原点に触れているような気がした。
残酷ではあるけれど、自然界は弱肉強食の世界なのだなあと、あらためて思ったり、昔の探検家はものすごく勇気がある人たちだったのだろうなあと思ったり。
とても刺激的で、いろいろと考えさせられた本である。
『空白の五マイル』が面白かったので、この北極探検の記録も期待して読んだ。
文章が上手い上に、極寒の地を歩くという行為そのものがものすごいことなので、その貴重な体験の一つ一つに「すごいなあ」と感心しまくり。
ぬくぬく生きている身には、その体験に、ただただ圧倒されてしまった本である。
1845年、イギリスの北西航路探検隊は北極に向かったが、129名全員が遭難死した。その彼らの足跡をたどるのが探検の目的で、北極のレゾリュートからカナダ北部のベイカー湖まで、約1600キロを103日かけて歩いた体験記である。
探検隊の隊長であるフランクリンが死んだあとは、イヌイットから「アグルーカ」と呼ばれていた男が、最後の生き残りとしてイヌイットたちに目撃されていたらしいが、詳細は不明のままだ。
その謎と、北極という未知なる世界と、冒険とは何かという問いが、この本のテーマ。
読んでいて興味深かったのは、寒い地ではエネルギーを異常に消費するということ。何千カロリーもの食物が必要らしい。
探検隊は、最後には死んだ人の肉まで食べていたらしい。
角幡さんはジャコウウシを射止め、解体して貪るように食べるシーンがでてくるが、このような地では、生きるものすべてが「命のために食らう」のであるなあと、なんだか生きることの原点に触れているような気がした。
残酷ではあるけれど、自然界は弱肉強食の世界なのだなあと、あらためて思ったり、昔の探検家はものすごく勇気がある人たちだったのだろうなあと思ったり。
とても刺激的で、いろいろと考えさせられた本である。
by mint-de
| 2013-08-21 15:24
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