碧草の風

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『風の丘』

『風の丘』 (カルミネ・アバーテ 関口英子訳 新潮社)

面白い小説だった。
「大いなる物語」を読んだという充実感が得られる小説だ。
イタリア半島南端、カラブリア州の架空の村スピッラーチェにあるロッサルコの丘を守りながら生きた家族の物語。
第一次世界大戦前から現代まで、僕リーノによって語られる曾祖父から父が生きた時代の出来事。
丘を耕しながら懸命に生きてきた家族。
戦争で子を亡くしても、横暴な地主に脅されても、ファシズムに押しつぶされそうになっても、土地を売れと迫る者があっても、決して屈することなく生きてきた人々。
登場人物たちのひたむきさに心が打たれるのだ。
丘の果樹や木々、花々、そこから眺める風景描写もとても美しい。
そして、丘の下に眠る古代都市の遺跡にまつわる話もロマンを誘う。
著者は、この地の出身で地元に就職先がなく、ドイツまで行った経験もあるそうだ。故郷にいられず苦労した体験が、こういう物語を書かせたのだろう。
丘を赤く染めるスッラの花は、はちみつがおいしいらしい。いつか味わってみたいな。
by mint-de | 2015-05-10 16:26 | 私の本棚 | Trackback
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