碧草の風

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『米国人博士、大阪で主婦になる。』


『米国人博士、大阪で主婦になる。「The Good Shufe」』 
(トレイシー・スレイター 高月園子訳 亜紀書房)

とても面白かった。
思い描いていた人生とはまったく異なる暮らしをすることになった女性が、迷い、悩みながらも、愛する男性と生きる道を選択した、その手記だ。
英米文学の博士号をもっている彼女は、アメリカで講師として学生などに教えていた。あるとき、東アジアで報酬のいい仕事を依頼される。日本にはまったく興味がなかった彼女だったが、生徒である日本人の会社員と恋に落ちてしまう。
周囲からは、海をまたいだ超遠距離の恋愛には反対されるが、彼との愛を確実に育んだ彼女は、10年の歳月の後に、二人の愛の結晶である娘を授かる。
冷静に自己分析をしながら行動する姿には、自立した大人の女性を感じるが、一方で、誰かに依存した生活など考えもしなかった女性が、180度違う人生を歩むことになる戸惑いにも、共感してしまう。
人生は、思い通りにはいかないこともあるが、それでも、自分が幸せになるために、自分に大切なものは何かを追求してあきらめなければ、居心地のいい場所を得ることができるのだと、教えられた気がする。
異国に住む不自由な気持ちや疎外感、いろいろ悩みながらも、彼女は、日本人の嫁でさえできないような義父の介護に懸命になる。入院した義父を見舞うのに、面会時間の初めから終わり(6時間)までいたという彼女には、驚いた。義父とのやりとりには涙が出るシーンもある。
そして、40歳過ぎてからの不妊治療、流産、あきらめたときに授かった新たな命。つらい時を乗り越えて、こういう本を書き上げた彼女は、精神的にとても強い人なのだと思う。これからの彼女の人生にも興味がわくので、ぜひ続編も書いていただきたいと思う。
by mint-de | 2016-12-27 15:39 | 私の本棚 | Trackback
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