「少女ファニーと運命の旅」

「少女ファニーと運命の旅」
  (監督ローラ・ドワイヨン 2016年 フランス・ベルギー映画)

実体験を綴った自伝の映画化なので結果は予想できるけれど、最後まで緊張感に満ちた展開だった。
9人の子どもたちが、どうか無事にスイスにたどりついてほしいと願いながら見ていた。
ナチスから逃れるために、ユダヤ人の子どもたちだけが預けられていたフランスのある支援施設。だが、密告者によってそこを離れることに。別の施設に移っても、また移動を余儀なくされる。頼るべき大人とも離れ離れになり、子どもたちだけの逃避行が始まる。
不安、恐怖、親への思い。理不尽な境遇にもめげず、最後まで希望を捨てなかった子どもたちのたくましさ。絶望の淵にあっても、「進むしかない」と前を向いたその強い心に感心する。
そして、子どもたちに手を差し伸べた勇気ある人々の姿にも感動する。
実際に支援組織に身を置く人はもちろん、たまたま出会った善意の人々。
あの時代、体制に逆らうことは身に危険が及ぶこと。それでも、自分なりに正しいことをしようとした人々はいっぱいいたのだ。
日本の10代の子どもたちに、ぜひ見てもらいたい映画だ。
by mint-de | 2017-08-19 16:08 | シネマ(あ~そ)