『シティ・オブ・ボーンズ』 (ハリー・ボッシュ・シリーズ8)

『シティ・オブ・ボーンズ』 (マイクル・コナリー 古沢嘉通訳 早川書房&ハヤカワ文庫)

ニューイヤーズ・デーに自殺した老女の遺体を見たボッシュが、自殺の瞬間に生き延びようとした老女の気持ちを考えていたとき、電話が鳴る。丘陵地帯で散歩をしていた犬が人骨をくわえてきた。それは、子どもの腕の骨らしいという。

調べていくうちに、その骨は20年も前に埋められた少年のもので、虐待のあとがあった。心をえぐられる子どもの事件。ボッシュは、死者の代弁者であるという信念と使命感に激しく揺さぶられながら、困難な事件の捜査にあたる。

だが、捜査の過程で、事件とは無関係の人間の命が失われてしまう。悪を取り除くためにやっていたことなのに…。街は理不尽な出来事に満ちている。何千年も前に殺された骨がいまごろ見つかったように、街には無数の骨が眠っている。

事件が解決した後、ボッシュはある決断をする。職務とバッジと使命があれば、道に迷うことはないとずっと考えてきたけれど、それがあるがゆえに道に迷うのだと気づいたのだ。
はっきりいって、私には、ものすごいショックだ。

今回は、犯人を見つけ出そうとするボッシュの強い気持ちに共感を覚える。それほど無茶をせず、市警の上層部の邪魔もしつこくないし、ひたすら事件を解決していく過程は、大人のボッシュという感じで、いつもより落ち着いて読むことができた。新人警官のジュリアはなかなか魅力的な女性だったので、これからも出番があればいいと思ったのに…。彼女は一体何を考えていたのだろう?

このシリーズでは、いくども墓地のシーンがでてくるが、今回も印象的だった。墓地を見下ろす空、墓地を渡る風、死者を悼む花、死者を守る土。「骨の街」といって、棺に土をかけるボッシュ。
ボッシュの戦いはまだまだ続くのだった。
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by mint-de | 2007-09-25 13:51 | 私の本棚 | Trackback

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