碧草の風

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「遠い空の下、僕は世界がめざめる音を聞いた」

「モーターサイクル・ダイアリーズ」  (2004年 イギリス・アメリカ映画)


映画そのものは、若者が旅をしながら成長していくロードムービーとして、十分見ごたえがある。南米の大自然やゲバラとかかわる人々の描写も鋭く、完成度の高い映画だと思う。
でも、私としては、妙にやるせなさを感じてしまう映画なのだ。

チェ・ゲバラを知らない人でも楽しめるというのが、映画の紹介にあったが、
逆にゲバラがその旅の15年後に銃殺されたという事実を知りながら見ると、
彼のまっすぐな正義感がとても切ない。

1952年、ブエノスアイレスに住む医学生エルネスト(チェ・ゲバラ)は年上の友人アルベルトと一緒に、おんぼろバイクで南米縦断の旅に出る。
喘息の発作に苦しみながらも、若々しい好奇心で旅を続けるが、やがて南米の貧困と原住民への差別、隔離されたハンセン病患者を知るようになる。

ハンセン病の療養所と健常者の住む世界を隔てているのは、この川のせいだと、
目の前の川を泳いで対岸の療養所に辿り着くシーンは、社会の不公平を黙認できなかったゲバラを象徴した、この映画のクライマックスだ。

映画のラストに実際の古い旅の写真と、一緒に旅をしたアルベルトの年老いた姿がでてくる。当たり前だけれど、ゲバラはでてこない…。
平和を求めるのに、革命や流血もやむなしという考えには同調できないけれど、あの映画のゲバラは実に魅力的だ。
演じたガエル・ガルシア・ベルナルの男性的でそれでいて繊細な演技もすばらしかった。

製作したロバート・レッドフォードは革命家としてのゲバラではなく「なぜ、彼がチェ・ゲバラになったか」という部分に興味があったと語っているが、
あえて後の彼を描かなかったところが、私としては未完成な気もするが、映画としては収斂されたものになったのだろう。

映画のパンフレットにアルベルトがゲバラについて語っている言葉が載っていた。
「彼の思想が彼を殺したともいえるだろう。彼は信念に従って生き、そして死んだんだ」
by mint-de | 2007-09-25 14:46 | シネマ(ま~わ) | Trackback
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