先人の争いを背負って 「キングダム・オブ・ヘブン」

「キングダム・オブ・ヘブン」  (2005年 アメリカ映画)

戦うことの虚しさが伝わってくる映画だった。
舞台はおよそ千年前だが、今の話として十分に通じる映画だ。

キリスト教徒とイスラム教徒が、束の間、平和に共存していた時代のエルサレム。
父の遺志を継いで騎士になったバリアンの活躍を通して、正義とは何か、そして戦うことの意味が問われる。

寛容なエルサレム王ボードワン4世とサラセン王サラディン、その二人とは対照的な、強欲で狂信的なボードワン4世の後継者や十字軍の戦士たち、それぞれの思惑がぶつかりあって、結局十字軍とサラセンの戦いが始まってしまう。

戦闘シーンを美しいというと、誤解を招くかもしれないけれど、かなり映像美を感じさせる作り方だった。
そして、戦いのバックに流れる重い音楽が、悲しさ、虚しさを象徴的に表現していると思う。
全体的に抑制された雰囲気の映画だった。

一番の魅力は、バリアンの人間性だろう。「命令はされても、決めるのは自分の魂だ」「戦いは人民の命を守るため」といったセリフなど、正義感あふれる、気高い騎士そのものの人物だ。ただ、鍛冶屋からあれほどまでの騎士になれるのだろうかという疑問はあるけれど。

そのバリアンをオーランド・ブルームが見事に演じている。正直にいうと、彼にはあまり期待していなかったが、陰影に富み、渋さまで感じてしまう演技は、なかなかよかった。

ほかにも印象的な言葉があるが、バリアンの「先人の争いを背負っている」というセリフは、今の時代の国々にも当てはまる言葉だ。
こういう映画を見ると、神を信じることによって争いが起きるのか、争いの材料として神を持ち出すのか、そういうことを考えてしまう。
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by mint-de | 2007-09-25 15:02 | シネマ(あ~そ) | Trackback

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