上山博康さん(旭川赤十字病院脳神経外科医)

NHK総合テレビで木曜日の午後10時から放送している「プロフェッショナル仕事の流儀」、昨日の放送は脳神経外科医の上山(かみやま)医師だった。
まさに、プロ根性をもったすばらしいお医者さんだった。
普段、血を見ると別のチャンネルにしてくれという夫も、上山先生のすごさに、身を乗り出して見ていた。私も手術のシーンが気持ち悪くなくて、「そうか、こんなふうにやるんだ。外科医って、職人芸というか、もうミリ単位の仕事をする芸術家みたいだ」と感心してしまった。
そして、その上山先生の人柄がすばらしい。鞄はもたず、紙袋持参(中身がなくなると捨てられるから)で出勤する。外見も普通のおじさん風で、気さくな感じ。全然威張ってない。そして、なにより患者の気持ちを大事にする、その姿勢がいい。患者からのメールや手紙もいっぱいくる先生だ。
ここに先生の言葉が出ているけれど、患者は命がけでやってくる、だから患者に負担をかけず、医者としての生命をかけて手術をすると言い切る。その責任感とプロ魂に徹した言葉は、実に感動的だ。
そんな先生にも失敗があった。30代のころ、脳腫瘍の患者を手術で死なせてしまったらしい。患者の家族に土下座して謝ったとき、高校生の息子さんが、父は先生を信頼して手術を受けた。それで失敗したのだからしょうがない、というようなことをいったという。この息子さんもすごいけれど、先生はその言葉が今も胸に強く残っているらしく、涙を流して話していた。

病気を治すのが医者。医者としてのプライドが、失敗を許さないと言い切る。
医者としての技術もすばらしく、患者に信頼される医者、こういうお医者さんは、残念ながらあまりいないだろう。でも、こんなにすばらしいお医者さんがいると知ることができて、なんだかとても気持ちがいい。(2006年9月記)
by mint-de | 2007-09-27 15:07 | 観て☆聴いて☆読んで