碧草の風

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女たちへの賛歌 「ボルベール <帰郷>」

「ボルベール <帰郷>」  (2006年 スペイン映画)

ペドロ・アルモドバル監督の作品を観たのは、「オール・アバウト・マイ・マザー」と「トーク・トゥ・ハー」の2作。「トーク・トゥ・ハー」も最初のダンスのシーンが印象的だったけれど、この「ボルベール」も最初のシーンに圧倒される。墓を掃除する元気な女たち、飛び交う喧しいスペイン語と原色の花も強烈で、映画の世界に強引に引き込まれてしまう。挨拶のたびにハグしてほっぺにチュッとするその音も、意識して大きくしているようだった。人とのつながりの大切さと、全編、女たちへの賛歌に満ち溢れている。

主人公ライムンダを演じるペネロペ・クルスの演技もすばらしい。実にしたたかでたくましくて、色っぽい女なのである。娘が誤って殺してしまった夫の死体を片付けるライムンダは、とても冷静だ。それは、娘への愛情があるからできることなのだろう。この映画は犯罪者がいっぱいでてくる。でも、その罪を裁くのは、警察とか権力の場ではない。私は、どんな事情があっても人を殺すのは罪だと思うので、このストーリーには釈然としないものを感じるけれど、この映画はそういうことは問題にしていないのだろう。罰せられるべきは、身勝手な男どもだといわんばかりである。

ライムンダが娘を生んだ事情を知り、ライムンダの母がしたことを知ると、とても笑ってみている場合じゃないと思うのだけれど、「それがどうした?」と思えてしまう不思議な魅力に満ちた映画なのである。お金のないライムンダが、撮影クルーのためにレストランで食事を作ることになった時、すれ違う知り合いたちから、いろんな食材を借りてしまうその強引さにあっけにとられるが、このしたたかさが、女たちの生きるパワーなのだと思った。どんな境遇にあっても、生きることにまっすぐで貪欲な女たちの映画なのだった。
by mint-de | 2007-09-27 16:05 | シネマ(た~ほ) | Trackback
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