碧草の風

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住井すゑさん

『橋のない川』(新潮文庫)を、今頃読んだ。ずっと、「重いテーマで暗い小説」と思い込んでいた。読まずに決め付けていたことを、反省している。
主人公の家族達の温かさ、ユーモア、社会の底辺に暮らす人々の生きるパワー。
そして、権力をもつものや差別社会への憤りを、全7部に描ききった住井すゑさんは、
つくづくすごい人だと思う。
ご本人は、もっと書きたいと思って第8部の構想も練っていたらしい。それが90歳のときだというのだから、驚いてしまう。一度は終わりにしたつもりでも、書きたいことが泉のように湧き続けたのだろう。
それにしても、ここに描かれた大正時代の貧しい家庭では、食事はお粥ばかり。
空腹に耐えながら、必死に生きた人たちのことを思うと、今の食生活がとてつもなく贅沢に思える。
この本を読んでいるときにデパ地下に行ったら、色とりどりに並ぶ豊富な食べ物に何だか
違和感が…。ありすぎじゃないかとか、余ったらどうなるのかとか、今、地球上のどこかで、
飢えで死んでいく人もいるのにとか、いろいろ考えてしまう。
今度は『沈まぬ太陽』を読み始めた。これも読み応えがありそうで、楽しみだ。


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by mint-de | 2007-11-28 14:35 | 私の本棚