碧草の風

mintmmks.exblog.jp
ブログトップ | ログイン

女王の立場 「クィーン」

「クィーン」 (2006年 イギリス・フランス・イタリア映画)

私は、ダイアナ妃やイギリス王室にはそれほど興味はないけれど、この映画は、それぞれの立場の違いや思惑が上手くまとめられていて、面白いと思った。とにかくエリザベス女王役のヘレン・ミレンの演技が素晴らしい。威厳に満ちながら柔らかく、核心を突きながら謙虚でもある。

女王は事故死した元の嫁への対応に苦慮するなかで、イギリス王室の伝統と格式を守らなければならない自分の立場を、決して声高には語らず、最後には、ブレア首相の意見に従うのだ。本当の女王がどういう人間かは知る由もないが、こういう立場にある人の心情というのが理解できる、そういう説得力のある映画だった。

ダイアナ妃の死を悼む声の多さに驚きながら、「会ったこともない人間に弔意が示せるのか」という女王の言葉には、王室を出て行ったダイアナ妃への思いと、ダイアナ妃のことをマスコミの情報でしか知ることのなかった人々のヒステリックな反応に対しての憤慨も感じられる。マスコミに作られてしまったものも一杯あるのだと思う。

女王が一人で車を運転して、川のなかで動けなくなったとき、鹿が現れたシーンは印象的だった。鹿撃ちのハンターに襲われないように、鹿に向かって早く逃げなさいという。そして、鹿がいなくなって安堵する。でも、その鹿は後日、撃たれてしまう。女王は死んだ鹿を見にいって、射止めたハンターを賞賛する言葉を口にする。私には不可解な行動だけれど、逃げられなかったのだからしょうがないと諦めた気持ちが、ダイアナへの思いと結びついているのかもしれないと思った。

それにしても、元の嫁が亡くなったあとで、狩猟に精をだすフィリップ殿下の気持ちというのは、理解できなかった。ブレア首相の奥さんの王室への皮肉や首相とのやりとりは、コメディのようでおかしかった。こういう映画を作ってしまう、イギリスの自由さが羨ましい。
by mint-de | 2007-12-28 13:59 | シネマ(あ~そ) | Trackback
トラックバックURL : http://mintmmks.exblog.jp/tb/6831677
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。