私は自由 「プルートで朝食を」

「プルートで朝食を」 (2005年 アイルランド・イギリス映画 監督ニール・ジョーダン)

僕の、いえ、私の名はパトリック。キトゥンと呼んで。私はアイルランドで生まれたの。
母は、生まれたばかりの私を神父さんの家の前に置いて、いなくなってしまったの。幻の女になったのよ。
私は、養子にだされたわ。養母は、いつもガミガミ怒ってばかり。女の子になりたかった私は、きれいにお化粧をして女の子の服を着たりしたけど、養母はそんな私をひどく罵ったわ。学校の先生にもいつも怒られてた。でも、私は気にしないの。いつも明るく笑っていたわ。だって、笑うことで、ひどい身の上に耐えることができたから。

ある夜、ライダーから素敵なことを教えてもらったの。冥王星まで旅をするくらいの気持ちが大事。人生は、いろんな経験の積み重ね。政治的なテロで、無差別に人を殺したり、自分の思想を他人に強制したりすることより、とっても大切なことだって。だから、私は旅に出た。実の母、幻の女を捜すために、ロンドンへ。

いろいろあったけれど、運がよかったのは、バーの爆破容疑でつかまったこと。何も知らなかったけれど、警察署は居心地がよかったので、作り話をしたわ。でもその話は現実的じゃなくて、追い出されちゃった。私にひどい仕打ちをした警官が、その後で、いいお店を紹介してくれたの。お陰で父から話を聞けて、母にも会うことができた。母の幸せを壊したくなかったので、名乗らなかったけれど、うらんだりしていないわ。私の人生だもの。

いつもきれいにして、私はわたしのまま生きていくわ。私の心は、コマドリのように自由よ。誰にも私の邪魔はできないの。いつか、冥王星で朝食がとれるかしら?

とても面白かった。軽快な音楽もいいし、キリアン・マーフィーの演技も素晴らしい。
最近観た映画で、一番気に入った。どんな環境にもめげずに自分を貫くのは、大変なことだ。
でも、パトリックは人に馬鹿にされようが、真剣じゃないと眉をひそめられても、気にしない。
逆にどっちの行動が正しいのかと、問われているような気になるのだ。
続編があるといいな(^^)
by mint-de | 2008-01-21 09:32 | シネマ(た~ほ)