「ノーカントリー」

「ノーカントリー」 (2007年 アメリカ映画 監督ジョエル・コーエン イーサン・コーエン)

人は生きている限り、他人を、世の中の出来事を、理解しようと努める。でも、どうしても理解できなかったり、絶望的な思いに身を置かざるをえないときがある。老保安官ベルは嘆く。昔はまだ理解できる事件があった。しかし、今は訳がわからない事件が多くて、自分の仕事の意味さえ疑問に思えてくる。彼は、ある事件を最後に保安官を辞めることにする。彼の嘆きは、現代の私たちの恐怖であり、理不尽な出来事への怒りであり、悲しみである。

メキシコ国境に近い、テキサスの荒涼とした大地。画面いっぱいに広がる大地は、まるで不毛の精神世界を暗示しているようだった。狩りをしていたモスは偶然、銃撃戦のあとの死体と麻薬、200万ドルの大金を見つける。モスがこの金を盗んだことから、彼は、殺し屋アントン・シガーに追われることになる。

このアントンがものすごく無気味。酸素ボンベをもち、そこから無言で弾を発射する。コインの裏か表で人殺しを決め、自分のルールで行動する。「殺す必要はないだろう」と相手がいっても、彼には通用しない。彼のルールがあるから。

こんな人間を理解することはできないし、したくもないが、今の日本でも、そこまでする必要があるのだろうかという事件が起こっていて、暗澹とした気持ちになる。

映画は最後まで緊張感に満ちていて、この怪物ともいえる殺人鬼の恐ろしさを徹頭徹尾描ききる。ラスト、上着をくれた少年にお金をやるのは、彼のルールか、それとも残されていたほんのわずかな優しさだったのだろうか?
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by mint-de | 2008-04-10 14:10 | シネマ(た~ほ) | Trackback

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