命の種

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今年も、ルドベキアが黄色い花を咲かせた。
姉が、亡くなる前の年に、自分の庭で育てた花の種を送ってくれたのだ。
毎年、鮮やかな黄色い花を見るたびに、ああ、今年も姉の花が咲いたと思う。
我が家の庭で、姉が育てた花の命が引き継がれている。
種が飛んで庭のあちこちに、もしかすると、隣の庭で咲いている花も、家から飛んでいったものかもしれない。
姉の命のはかなさに比べると、丈夫で繁殖力旺盛なルドベキア。
私は、そのルドベキアに、ときどき話しかける。

私には、姉との思い出の中で忘れられない思い出がある。
私は、小学校に入学して間もなく、忘れ物をした。そのことを姉に話すと、
「私がとってきてあげる」といって、姉は全速力で校門から駆けて行った。
心配しながら待っていた私の前に、息を切らして戻ってきた姉。
私にとって姉は、いつも頼もしくて優しい人だった。
もう一つは、犬との思い出。
12歳のころ、生後間もない犬を貰った。白いスピッツで、私は一緒に寝たりしていた。
でも、1年もたたないうちに病気になって死んでしまった。
私にとっては、初めてのつらい出来事だった。
父と私は、山のふもとにでかけて犬を埋めた。
後から帰って来た姉は、あんな淋しい所に埋めてしまっては可哀想だといい、翌日、
私と姉は、家の庭に埋めることにして、犬を掘り返しに行った。
1日たって、犬を入れたダンボールはとても重くなっていた。
私が「重いでしょ」といっても、姉は黙って、ダンボールを背負って歩き続けた。
あの夕暮れの暗さと悲しさを、私は、忘れることはないだろう。命と死と。

毎年、花を咲かせる命の種。
はかないけれど、たった一つの命。
庭をひときわ明るくする黄色い花、ルドベキアを見るたびに、生きることを大事にしたいと思うのだ。


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by mint-de | 2008-06-28 22:23 | 記憶の鞄

見たり聞いたり、日々思うことをあれこれと…


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