碧草の風

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「帰らない日々」

「帰らない日々」 (2007年 アメリカ映画 監督テリー・ジョージ)

愛する者の命を突然奪われたとき、人はその事実にどう対応できるだろう。一方、不注意で人を死なせてしまったとき、人はどのように行動してしまうのだろう。
被害者側のやりきれない思いと、加害者の苦悩。
穏やかな日々が、事故で一変してしまう生活を、被害者側と加害者の立場から描いている。両者の心理状態を、丁寧にかつうまくまとめていると思う。

大学教授のイーサンは、妻のグレースと息子、娘の4人暮らし。
ある夜、イーサンの目の前で、息子がひき逃げされて死んでしまう。
悲しみに沈むイーサンは、法の不備や警察の捜査に不満をもち、独自に弁護士に調査を依頼する。しかし、その担当の弁護士ドワイトその人がひき逃げ犯だったのだ。

ドワイトは、別れた妻との子、サムと一緒に野球観戦から帰る道で事故を起こしてしまった。息子の目の前で、犯罪者になりたくなかった父ドワイト。

イーサンの、犯人への怒りは増すばかり。グレースは、そんなイーサンを心配する。
自分の一言が息子の死につながったと自分を責めていたグレースだったけれど、
彼女は、息子の死から立ち直ろうとしていた。

ドワイトは、息子が心の支えだった。たまにしか会えない息子への愛に気づくたび、彼は、自分の罪の深さにおののいている。自首しようと思うものの、なかなかできないでいる。

怒りが頂点に達したイーサンの行動は、悲しみを受け入れるための心の準備だったのかもしれない。ドワイトに復讐しても息子は帰ってはこない。
そして、ドワイトが、もうすべてを失っていることを知る。
復讐心に燃えてすべてを失う寸前に、イーサンは気づいたのだ。
今の家庭を愛し守っていかなければならないことに。私は、このシーンにほっとした。

ラスト、ドワイトが自首したかどうかまでは、描かれていない。
でも、サムに残した告白ビデオが、ドワイトにとっては一番の贖罪だという気がする。
ドワイトにとっては、被害者側への謝罪より、息子に自分の過ちを告げることのほうがつらいことだったろうから。
by mint-de | 2008-08-03 11:23 | シネマ(あ~そ) | Trackback
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