碧草の風

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最近読んだエッセー

最近、面白いエッセーを読んだ。
一つは、’05年版ベスト・エッセイ集『片手の音』(日本エッセイスト・クラブ編 文春文庫)。もう一つが、梨木香歩さんの『春になったら苺を摘みに』(新潮社)。

『片手の音』は、いろんな方が違ったテーマで書かれていて、その内容も濃さもさまざま。
私が一番「へぇ~」と思ったのは、友禅職人の岩原俊さんが書かれた「貸しふんどしの話」。タイトルを見て、「貸しふんどし」ってナンだ?(^^)
なんでも、江戸時代の参勤交代で、地方から江戸にやってきた武士達が利用していたとか。そのふんどしがなんと、浮世絵の青の色になったというからオドロキである。
古くなったふんどしが藍染めされて野良着になり、さらにその野良着のお古から藍の成分を取り出して、「藍棒」という青色の顔料を作っていたそうだ。
江戸時代の人々もちゃんとリサイクルをしていたわけである。でも、ふんどしから浮世絵の青色というのは、どう考えても連想できないな。

あと、久田恵さんがお母さんのことを書かれた「母の遺稿」は、短いながら強烈な印象をもった。
夏目漱石のお孫さんである半藤末利子さんが書かれた「中根家の四姉妹」も、かなりの「へぇ~」である。漱石の妻、鏡子の話がおかしかった。あの漱石の妻が、こういう人だったなんてねえ…。ほかにも面白い話がいっぱいあった。

梨木さんの『春になったら苺を摘みに』は、梨木さんがイギリスに留学中にお世話になった、大家さんのウェスト夫人の話を中心に、そこで知り合った人々との交流を描いている。
このウェスト夫人が、ものすごい人なのである。ウェスト夫人は、いろんな国のさまざまな境遇にある人を、とにかく受け入れてしまえる人なのである。「理解はできないが受け容れる」ことのできるウェスト夫人の行動力には、感心するばかり。
梨木さんが、旅をして出会った人や物事について書かれている内容にも、とても共感した。
by mint-de | 2008-09-06 21:24 | 私の本棚