「WITHOUT A TRACE」  第80話 (4-10)

「幕が下りる時」

今回も、失踪者を追うといういつもの展開じゃなくて、人生にとっての「記憶」がテーマで、見応えがあった。
過去の出来事から記憶を失った若い女性、反対に過去の記憶が生きる支えの老人。
二人を対照的に描きながら、心のよりどころとしての家族のあり様が、しみじみ伝わってきた。

サマンサのもとへ福祉局の友人から電話が入る。記憶をなくした若い女性が保護されているので、力になってほしいというのだ。その女性の体に異常はなく、気付いたら道路の上だった、自分が誰で、何をしていたのかまったくわからないという。記憶が戻らないと、そのまま施設送りになるという友人の言葉に、サマンサは手がかりを求めて動きだす。

女性を見たという目撃者の話から、彼女は血のついたコートを着ていて、声をかけても混乱した様子だったという。脱ぎ捨てたコートに付着していたものとメトロカードから、彼女が小劇場の女優だったことがわかる。
劇場の演出家によると、彼女はカーメンといい、弟を亡くした女性の役だったが、公演が近づくにつれて、演技がうまくいかず、屋外で、役を降りてもらう話をしているときに、強盗に襲われ、刺された演出家が血を流すのを見てパニックになり、どこかに行ってしまったという。

カーメンの友人によると、彼女は、芝居の練習をはじめたころから落ち込んでいたという。捜査の結果、カーメンには弟がいて、小さい頃にハチに刺されて死んでいたことがわかる。カーメンは目の前で死んでいく弟を見ていたのだ。役作りで過去の悲しい出来事を思い出し、演出家が刺されたのを見たことが引き金となり、カーメンはすっかり混乱してしまったのだ。

カーメンには血やナイフといった断片的な記憶があり、自分が人を殺したのではないかと不安に思っていたので、サマンサが家族の写真を見せても、幸せそうで別人みたいだと話す。記憶は戻ってくるかと聞くカーメンに、サマンサが励ます言葉にジーンとなる。記憶がなくても、愛してくれる家族がいると…。ちゃんと思っていてくれる人がいるというのは、幸せなことなのだ。

ジャックは、父のことで連絡が入り、老人ホームへでかけていく。腎不全なのに治療を拒否していると聞き、父を説得しようとするが、父親は生きていてもしょうがない、人間らしく死にたいといい、ジャックの話を聞こうとしない。父親は、過去の記憶の中で生きているようだった。

アルツハイマーが進行していることもあり、強制入院の手続きをとるジャック。しかし、部屋から出るのに父が激しく抵抗したため、思いとどまる。その後、父親は入院を承諾したが、ジャックが部屋を離れ、戻った時には、永久の眠りについていた。
認知症のお年寄りの世話は大変だ。私も経験してきたことなので、この二人のシーンは、胸に迫った。

過去の記憶に苦しむ若い女性、幸せだった記憶のなかで生きていたい老人。
記憶と、人生と、そして家族の物語。
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by mint-de | 2009-02-25 14:54 | 海外ドラマ(V~Z) | Trackback

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