碧草の風

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「リリィ、はちみつ色の秘密」

「リリィ、はちみつ色の秘密」(2008年 アメリカ映画 監督ジーナ・プリンス・バイスウッド)

心に傷をかかえた少女が、黒人3姉妹との触れ合いを通して成長し、再生していく姿を描いている。
リリィ役のダコタ・ファニングの繊細な演技と、黒人の長女オーガスト役のクイーン・ラティファの優しくて包容力に溢れた演技が、とてもよかった。

アメリカで公民権法が制定された1964年、リリィは14歳になった。リリィには、4歳の時に母を殺してしまったという過去がある。家から出ていこうとした母は、引きとめようとした父に向けて銃を取り出した。その銃がリリィのところに転がってきて、リリィが銃を母に渡そうとしたときに暴発してしまったのだ。その後、父は、親としての愛情を注ぐことなくリリィを育ててきた。冷酷な父との暮らしで、リリィの、母を想う気持ちは募るばかりだったが、父は、母親はお前を捨てて逃げようとしたというだけだった。

ある日、リリィは黒人の家政婦のロザリンと町にでかけた。公民権法によって、黒人は差別から解放されたはずだったが、まだまだ白人の中には、その法律を快く思わない人々もいて、白人の男たちに言いがかりをつけられたロザリンが反抗的な態度をとったことから、ロザリンは袋叩きにあい逮捕されてしまう。自分の使用人なのに、ロザリンをかばおうとしない父に、すっかり嫌気がさしたリリィは、ロザリンを連れて、母の思い出を探すため、母の故郷へと向かう。母に愛されていたのか、ずっと確かめたかったのだ。

母のいた町で、リリィは母の遺品にあった黒い聖母像のラベルがついたはちみつのビンを見つける。それは、黒人の養蜂家が作ったものだった。その家を訪れ、強引に、家においてほしいと頼むリリィ。リリィの話を聞いていた黒人の3姉妹の長女オーガストは、寛大な笑みを浮かべながら、働くならいいといってくれる。そうして、リリィとロザリンは、新しい環境のなかで暮らしていくことになる。

オーガストは、リリィに、ハチの育て方やはちみつの作り方を教えていく。
ハチに愛を送るのだと、やさしくいうオーガスト。次女のジューンは、気の強い女性。三女のメイは、とても繊細だ。
黒人であるというだけで差別を受けていた時代に、彼女たちは、凛として生きている。
ずっと罪の重荷を背負ってきたリリィだったが、彼女たちと過ごすことで、少しずつ変化が起きてくる。
そして、オーガストや父から母の真実を聞いたリリィは、自信をもって生きていくことができるようになる。母の愛と、オーガストのすべてを優しく包みこんでくれるような温かさ。
誰かに大切に思われていることを知ると、人間は強くなれるのだ。

思うように生きられないときでも、オーガストのように大らかな笑みを浮かべていられたら、困難なことも少しずつ乗り越えられそうな気がする。メイの繊細さはあまりにも哀しい。重荷に耐えられないなら、重荷を軽くするしかないのだから、「嘆きの壁」は、いい方法だと思ったのだけれど…。そのシーンだけが残念だった。
by mint-de | 2009-03-26 14:38 | シネマ(ま~わ) | Trackback(2)
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