2012年 01月 21日 ( 1 )

『真鍮の評決』

『真鍮の評決』 (マイクル・コナリー 古沢嘉通訳 講談社文庫)

弁護士ミッキー・ハラー・シリーズの2作目。
前作のハラー弁護士にはボッシュ刑事のような魅力を感じず、内容そのものにもあまり感情移入できなかったが、今回は、ハラーがこういう人なんだと割り切ることができ、加えてボッシュがゲスト出演していることもあって、前作より面白く読むことができた。
怪我がもとで休業していたハラーが復帰して取り組むことになったのは、世間から注目を浴びていた映画会社のオーナーが被告の事件。ハラーと親しかった弁護士の事件だったが、その弁護士が殺害されたことからハラーに仕事が回ってきたのだ。
オーナーは妻と愛人を殺したとして起訴されていたが一貫して否認している。オーナーは犯人ではないのか、弁護士を殺害したのは誰なのかという謎と、裁判制度への疑問も浮かび上がらせる展開。
日本でも裁判員制度が始まったが、日本の場合は、裁判員候補者と面接するのは裁判長だけらしいが、アメリカの陪審員は、裁判官のほか検察官、弁護士も同席して、それぞれ自分たちにとって不利な判断をしそうな人を何人か除外できるという。
人を裁くには、まず裁く人を選択しなければならない。そこからもう裁判は始まっているのだ。すべては陪審員の気持ち次第という裁判。弁護士も検察官も陪審員の心証をよくすることに懸命になる。
弁護士は被告人の利益だけを考える。ハラーは金のために。でも、「悪い人たちを助けている」という娘の言葉が、ハラーの胸に突き刺さる。
結果的には、ハラーの行動が罪を犯した者に相応の報いを受けさせることになる。
「真鍮の評決」とは自警行為の殺人をいうのだそう。
罪を犯しても裁判で無罪になった者に対しては、被害者側からすると真鍮の評決をしたくなるかもしれない。人が人を裁くということは、本当に難しいことだと思う。
by mint-de | 2012-01-21 14:31 | 私の本棚 | Trackback

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