カテゴリ:詩と言葉から( 37 )

八木重吉の詩から③

    <ねがい>

   できるだけ ものを持たないで
 
   こだわりなく 心をはたらかせたい



    <本当のもの>

   どうしても わからなくなると

   さびしくて しかたなくなると

   さびしさのなかへ 掌をいれ

   本当のものに そっとさわってみたくなる



d0129295_21493860.jpg
by mint-de | 2008-03-14 21:50 | 詩と言葉から

自分の命

「自分の命生かす共生を」

(略)その上で、『あらしのよるに』のしめくくりが、友達のために生命を投げ出すというシーンであることに、ほかの書き方はないのだろうか、と思いました。そこを踏みとどまって、苦しい旅をするヤギとオオカミとともに、ふたり生きての行く末を考えてもらいたい。その方法をどうしても考えつかないなら、子供の(大人になっても読みなおし続ける)読み手に、考えてゆくバトンを渡す。そんな書き方もあるのじゃないでしょうか?
それというのも、「いのちを かけても いいと おもえる ともだち」という美しい言葉は、使われ方でむごい強制をもたらすからです。「ともだち」を「家族」「国」「世界」と置きかえてみてください。
この2月、自民党と民主党の議員連盟「教育基本法改正促進委員会」の設立にあたって、西村慎悟衆院議員が、「国のために命を投げ出しても構わない日本人を生み出す。お国のために命をささげた人があって、今ここに祖国があるということを子どもたちに教える。これに尽きる」と挨拶しました。
自分の命を差し出す覚悟の発言、というのじゃない。ひとに命を投げ出せ・ささげろという、それも子供にいう。子供たちにいえ、と教師に強いる法律を作ろうとする。この議員の倫理感覚の鈍さにあらためてウンザリしますが、私は自分の命についても、それを生かす道から、一緒に生きることを考え始めたいと思います。
自分が生きることを考えない共生は、それこそ矛盾です。


  (大江健三郎 「自分の命生かす共生を」 2004年11月16日付朝日新聞朝刊から)
by mint-de | 2007-09-27 11:38 | 詩と言葉から

八木重吉の詩から②  「光」 

  


       ひかりに  うたれて

            花がうまれた


d0129295_10595789.jpg

















d0129295_1681772.jpg

















d0129295_1683753.jpg



















d0129295_1685911.jpg


















d0129295_1101586.jpg
by mint-de | 2007-09-25 21:13 | 詩と言葉から

物語の魅力

「物語とは、世界の謎を解き明かしながら、世界を謎のまま残す術、時のなかに封じ込めてしまうのではなく、いかしつづける術だ。一つの物語を百人が語れば、百通りの物語ができあがる。それはつまり、一人ひとりのものの見方が違っているということだ。」

(ジャネット・ウィンターソン 岸本佐知子訳 『オレンジだけが果物じゃない』 国書刊行会)


「矛盾しあう複雑なものを心の中に共存させること。読書で培われるのは、この複雑さの共存だ。自己が一枚岩ならば壊れやすい。しかし、複雑さを共存させながら、徐々にらせん状にレベルアップしていく。それは、強靭な自己となる。」

  (齋藤孝 『読書力』 岩波新書)


d0129295_11571355.jpg
by mint-de | 2007-09-25 11:57 | 詩と言葉から

親と子ども

日曜日の朝日新聞の朝刊に「保護者の無理難題」と題して、学校の先生を悩ませる困った親の話が載っていた。
保護者のあまりにも身勝手な要求には笑ってしまったが、「言ったもん勝ちの風潮もあって事態は深刻」という専門家の方の言葉に、先生も大変だなあと、つくづく思う。

とにかく、学校に来る子は千差万別。色んな子どもを一つの教室で、同じように教えていくわけだから、その苦労は計り知れない。懸命にやっても、文句をいわれたりするし、想像以上に神経を使う仕事かもしれない。

確かにヘンな先生もいるけれど、子どもを学校に預けた以上、親は学校を信頼するしかないと思う。お互いに信頼関係を築いていければ、一番いいんだけれど…。

こういう親の話を聞くと、この詩を教えてあげたくなる。(2005年6月28日記)


「あなたの子供は、あなたの子供ではない。彼等は、人生そのものの息子であり、娘である。
彼等はあなたを通じてくるが、あなたからくるのではない。彼等はあなたとともにいるが、あなたに屈しない。
あなたは彼等に愛情を与えてもいいが、あなたの考えを与えてはいけない。
何故なら、彼等の心は、あなたが訪ねてみることもできない、夢の中で訪ねてみることもできないあしたの家にすんでいるからだ……。」
(カリール・ギブラン)

 (星野道夫 『長い旅の途上』 文春文庫・「はじめての冬」から )
by mint-de | 2007-09-22 15:41 | 詩と言葉から

人生の断片

人生の特別な一瞬というのは、本当は、ごくありふれた、なにげない、あるときの、ある一瞬の光景にすぎないだろう。そのときはすこしも気づかない。けれども、あるとき、ふっと、あのときがそうだったのだということに気づいて、思わずふりむく。
ほとんど、なにげなく、さりげなく、あたりまえのように、そうと意識されないままに過ぎていったのに、ある一瞬の光景が、そこだけ切りぬかれたかのように、ずっと後になってから、人生の特別な一瞬として、ありありとした記憶となってもどってくる。
特別なものは何もない、だからこそ、特別なのだという逆説に、わたしたちの日々のかたちはささえられていると思う。人生は完成でなく、断片からなる。



  (長田 弘 『人生の特別な一瞬』 晶文社・「あとがき」から)

d0129295_1116092.jpg
by mint-de | 2007-09-22 15:36 | 詩と言葉から

好きな自分

「おれにはね、人がみんな、<好きな自分>の姿を心に大事にもっているような気がする。
なかなかそのとおりにはなれないし、他人にはてれくさくていえないような姿だけどね。
すくなくとも、おれはその姿をもって生きてきた。
そして、どうしたらいいかわからないわかれ道にやってきたら、
どっちに歩んでいくほうが<好きな自分>かを考えるんだ。」


  (上橋菜穂子 『夢の守り人』 偕成社・「チャグムとタンダ」から)


d0129295_1120374.jpg
by mint-de | 2007-09-22 15:32 | 詩と言葉から

雨は土地の名を、街の名を、通りの名を恋人のようにもっている。
雨は、街の言葉だ。雨の言葉が語るのは、街角にかくれている街の物語だ。
雨に街が滲んでいる。滲んだ光景がいつかこころに滲んでいる。
悲しみのように、街の雨はこころにしみをのこすのだ。


(長田 弘 『記憶のつくり方』 晶文社・「雨の歌」から)

d0129295_11212946.jpg
by mint-de | 2007-09-22 15:28 | 詩と言葉から

土に帰る

この世に生きるすべてのものは、いつか土に帰り、また旅が始まる。有機物と無機物、生きるものと死すものとの境は、一体どこにあるのだろう。
いつの日か自分の肉体が滅びた時、私もまた、好きだった場所で土に帰りたいと思う。ツンドラの植物にわずかな養分を与え、極北の小さな花を咲かせ、毎年春になれば、カリブーの足音が遠い彼方から聞こえてくる……そんなことを、私は時々考えることがある。


  (星野 道夫 『長い旅の途上』 文春文庫)


d0129295_11255469.jpg
by mint-de | 2007-09-22 15:23 | 詩と言葉から

八木重吉の詩から①  「貫ぬく 光」 



はじめに ひかりがありましたd0129295_11265653.jpg

ひかりは 哀しかったのです

ひかりは

ありと あらゆるものを

つらぬいて ながれました

あらゆるものに 息を あたえました

にんげんのこころも

ひかりのなかに うまれました

いつまでも いつまでも

かなしかれと 祝福(いわれ)ながら

by mint-de | 2007-09-22 15:20 | 詩と言葉から

見たり聞いたり、日々思うことをあれこれと…


by mint-de