「瞳の奥の秘密」

「瞳の奥の秘密」 (2009年 スペイン・アルゼンチン映画 監督フアン・ホセ・カンパネラ)

見終わった感想は、サスペンス映画というより愛についての映画だと思った。
愛する人間を失った者は、その不在にどのようにして耐えるのか?
愛する人がいるのに、愛を告げられないばかりに虚しい日々を送る者は、何をすべきなのか?

裁判所を定年になったベンハミンは、25年前の殺人事件にもとに小説を書き始める。
そのことを伝えに、ベンハミンはかつての上司イレーネのもとを訪れる。
イレーネと話すうちに、ベンハミンは自分がずっと隠してきたある感情に気付くのだった。

25年前の事件の被害者の夫リカルドは、事件後、犯人と思われる男を捜すため、市内の駅を回って男を見つけようとしていた。その夫の姿に打たれたベンハミンは、諦めていた事件を再捜査する。だが、男を逮捕したのに、テロリストの情報と引き換えに男は釈放されてしまう。
その時代の政情もあって、犯罪者の逮捕も釈放もかなりいい加減だったようだ。ベンハミンは正義を貫くタイプだったが、こういう時代に司法機関で働く者はかなり虚しい気持ちになっただろう。

犯人には死刑になるより生きて罪を償わせたいといっていたリカルド。
ラストの展開は衝撃的だが、そこまでするリカルドの気持ちを思うと、心打たれるシーンでもある。それを見たベンハミンは、やっと「不在」の意味と、自分がすべきことに気付いたといえる。
事件と愛の話を絡ませ、昔を回想するという構成が、作品をより印象深くしているような気がした。
by mint-de | 2010-08-20 15:48 | シネマ(た~ほ)

見たり聞いたり、日々思うこと。


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