わん ワンッ

夕飯の支度をしながら、窓から外を見る。
背伸びをすると、犬の様子が見える。
だらんと手足を投げ出して寝ていたり、伏せの格好でまったりしていたり、何かを考えているかのように前方を見つめてお座りの姿勢でいたりする犬。
公園を散歩するのと、庭で放される時間だけが彼の自由時間だ。
あとは鎖につながれて、食事をして眠るだけ。
そんな風に生きて8年半。
飼い主の意思に左右される毎日。
食べ物も行動も自分の意思なんて関係ないのだ。
ペットの犬として生まれたら、ご主人様のご機嫌を損ねてはいけない。
そういうことは、本能的に解かっているように見える。
自分が犬だったら、そんな生活は耐えられないと思う。
でも、それは私が人間だから思ってしまうことなのかも。
犬は、生きている日々を、限られた環境を、不幸だとも幸せだとも感じることはないのかもしれない。
体をなでると尻尾をふって応える犬。
もしかすると、うれしいことが一つでもあれば、それで満足するのかもしれない。
飼い主としては、そう思っていたいな。
by mint-de | 2011-09-06 11:08 | 木陰日和