「ウィンターズ・ボーン」

「ウィンターズ・ボーン」 (2010年アメリカ映画 監督デブラ・グラニック) 

描かれた世界をどう理解したらいいのか戸惑いつつ、どんなに過酷な境遇にあっても、生きる術は自分自身が諦めない限りあるのだと思った。
ヒロインの少女のように、強い心を持てる人間は少ないと思うけれど、家族を守るために孤軍奮闘するヒロインの凛とした姿に、心を打たれた。

ミズーリ州の山の中、17歳のリーは、心を病んでしまった母と幼い弟妹と暮らしている。
覚せい剤を製造した罪で逮捕されていた父親は、保釈後に行方不明になった。
父が裁判に出廷しなければ保釈金の担保になっている自宅と森を失ってしまうと知らされたリーは、父を捜すことにする。
リーは周辺に住む親戚に父のことを尋ねまわる。次第に明らかになる事実は、親戚中がグルであり父は裏切り者だったということ。
父の死の証拠が家族を救うというのは皮肉な話だけれど、リーはそんな現実にもめげたりはしない。
ただ自分がしなければならないこと、家族を守るために、奮闘するのだ。
印象的だったのは、お金を得るために軍に入隊しようとしたリーに、軍の担当者が今リーがやるべきことは、幼い弟妹をちゃんと育てることだと諭す場面。
リーが弟妹に、リスを食べるために皮をはぎ、はらわたの取りかたを教えるシーンは見ていられなかったが、彼女たちが生きていくためには覚えなければならないことなのだ。
遊具で遊び、森の自然を楽しむ。
それは、どんなに貧しくとも、家があって愛する家族がいれば、それだけでも何とかやっていけるだろうという暗示でもある。
テーマはとても重たくて、荒涼とした風景が続く暗い映画なのだが、リーを演じたジェニファー・ローレンスの演技がすばらしく、彼女のひたむきな姿がとても清々しく感じられた。
by mint-de | 2011-11-03 14:54 | シネマ(あ~そ)

見たり聞いたり、日々思うこと。


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