『世界の果てのこどもたち』

『世界の果てのこどもたち』 (中脇初枝 講談社文庫)

戦中・戦後を生き抜いた3人の少女たちの物語。
過酷な状況のなかでも、懸命に生きた彼女たちの心の優しさに感動する。
高知の貧しい村から「分村」で満州にやってきた珠子。友達になった朝鮮人の美子(ミジャ)と横浜の貿易商の娘茉莉。あるとき、3人は大雨にあい身動きがとれなくなって、不安な時間を過ごすことに。
そのとき、美子は自分の持っていたおにぎりを三つに分けて、一番大きいものから茉莉と珠子に渡し、自分は一番小さいのを取った。その行為を、珠子と茉莉はその後の人生の糧にするのだ。
どんなにつらい状況でも、前向きに優しい心を忘れずに生きる。
珠子も茉莉も戦後はつらい人生を送ることになる。戦争がなければそういう人生ではなかったはずだ。美子も故郷で生きることができただろう。
戦後、珠子たち満州の開拓移民が日本へ帰るために歩いて移動するシーンには、言葉がない。
なんと残酷なことだろう。

この本とは関係がないけれど、あるテレビ番組で「戦争に行けといわれたらどうするか」というインタビューをしていた。そのなかで、「日本を守るためなら行く」と答えた人たちがいたけれど、私ならそういう答え方はしたくない。「戦争は無意味です。武力で解決するのではなく、話し合いで解決を目指す。そういう考え方をしてほしい。軽々しく戦争に行きますかなんて質問はしないでください」

作者は、韓国や中国に何度も取材にでかけ、年表を作り、泣きながら原稿を書いたとどこかのサイトで読んだ。参考文献の書籍もすごい量だ。
作者の構成力にも感心した。
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by mint-de | 2018-08-12 15:53 | 私の本棚 | Trackback

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